瑕疵担保責任
売主
買主
中古住宅の瑕疵担保責任の取り扱い
業者
個人
■引渡し後、最低2年間は瑕疵担保責任を負う。
■瑕疵担保責任の免責不可。
■2年未満の瑕疵担保責任の特約は無効。
■瑕疵担保責任の条項が契約書に無い場合
 瑕疵を知った時点より1年以内なら責任を問え
 ます。但し、引渡しを受けてから10年経過すれ
 ば時効となりますので注意しましょう。
個人
個人
■瑕疵担保責任の免責可。
■瑕疵担保責任の期間設定自由。
■瑕疵担保責任の条項が契約書に無い場合
 瑕疵を知った時点より1年以内なら責任を問え
 ます。但し、引渡しを受けてから10年経過すれ
 ば時効となりますので注意しましょう。
売主は買主に対して下記内容の瑕疵担保責任を負います。
売主が業者の場合と個人の場合では取り扱いが異なっていますので注意しましょう。
業者(宅建業者)が売主で個人が買主の場合、不動産についての知識がプロと素人の
差が有り、その情報格差は歴然としています。
したがって業者には厳しい内容となっています。

 

 瑕疵担保責任とは一言でいうと、隠れた瑕疵に対する責任です

 まず瑕疵とは「欠陥、キズ」とほぼ同じ意味です。「隠れた」とは、買主が通常要求される注意を
 もってしても発見することが難しく、一見しただけでは、分からないことを言います。

 そこで通常の注意力では発見できない欠陥・キズを「隠れた瑕疵」といいます。
 売買の目的物が通常有すべき品質・性能に欠けるところがあるか、又は当事者が表示した
 品質・性能が備わっていないことをさします。

  「隠れた瑕疵」があった場合、民法・宅建業法では、買主を保護する規定が定められている。
 しかし事前に説明されている瑕疵(例えば雨漏り)について買主は売主に対して瑕疵担保責任を
 問えません。

 買主が通常の注意力でもって発見できない瑕疵について、買主は売主に対して補修請求権
 もしくは損害賠償・契約解除権(瑕疵を修理できない程、重大な欠陥がある場合)を請求できます。

 中古住宅の売買のケースで瑕疵担保責任について説明してみましょう。

 

 瑕疵担保責任の内容を分類しますと物理的瑕疵法律的瑕疵心理的瑕疵環境的な瑕疵
 の4つの内容に分けられます。

 

 まず物理的な瑕疵ですが、中古住宅の売買の場合、売却時点では気づかなかった生活する上
 で重大な建物の欠陥(床の傾き・雨漏り・シロアリ被害・給排水設備の不具合等)が、引き渡し後
 一定期間内に見つかった場合、売主は無料補修や損害賠償をする責任を負うことになります。
 特にうっかりすると見過ごしがちな点に古い擁壁工事(特に高さが2mを超えるような昭和40年代
 に作られたような擁壁)は、建て替えの際に作り直さなければならないような内容のものがあり
 ですので、注意しましょう。当然、媒介業者はそのことを買主に対して説明しておかなければなり
 ません。その他には、建て替え目的で古家付きで土地を買ったが、購入後、住宅請負会社で
 実施された地耐力調査の結果、軟弱地盤であることが判明し高額な地盤補強費が発生したという
 なケースも瑕疵担保責任の範疇に入ってきますので、媒介業者は買主に対してそのような費用の
 発生の可能性についても言及しておく必要性があります。

 次に法律的な瑕疵ですが、物件が文化財の指定地域に入っているとか、前面道路が
 都市計画道路の予定地になっているというような場合に重要事項説明書にその説明がなされて
 なければ、これは当然、瑕疵となります。それと大変重要な点として、購入不動産(更地・古家付き
 住宅)に接道している前面道路が建築基準法上の道路に該当している点と敷地がその建築基準
 法上の道路に2m以上接道しているという点は、将来、再建築の際に必須条件となりますので、
 この2点をのいずれかを満たさない物件についても瑕疵物件となります。

 また売買物件の室内で過去に自殺があったような場合、売主がこのことを隠して、買主に
 伝えなかった場合、判例ではこれを心理的な瑕疵として売主の瑕疵担保責任により契約の解除を
 認めたケースもあるなど、適用の範囲が物理的な瑕疵以外にまで拡大されています。

 

 そして最後が環境的な瑕疵ですが、暴○団事務所が向かい側にあるとか、風向きによって
 悪臭のする施設(養豚場・化学薬品取り扱い工場等)・騒音の激しい工場が近隣にあるといった
 場合、媒介業者が買主に対して適切な説明していない場合も当然瑕疵担保責任として責任を
 問われることとなります。

 

 瑕疵担保責任について民法及び宅建業法は下記のように規定しています。
 民法566条・570条で買主は瑕疵を知った時点より1年以内は無料補修や損害賠償請求権
 があります。

 宅建業法第40条では売主が業者の場合、その目的物の引渡しの日から2年以上とする特約
 以外は無効としていますので、必ず2年以上の瑕疵担保責任の特約を付ける必要があります。

 この条件以下の免責・期間の短縮といった条件(瑕疵担保責任を免責するとか瑕疵担保責任を
 1年とするというような特約)の買主にとって不利な特約は全て無効となります。

 また自らが売主となる不動産業者の中には瑕疵担保責任を逃れる為に、瑕疵内容を特定し
 免責とするような内容の特約(例えば雨漏りについては瑕疵担保責任を免責とする)をつけて
 いるようなケースがあるようですが、これ等も当然無効となります。

 売主の側からすれば売却してから長期間瑕疵担保責任を問われるリスクを避ける為に実際
 の取引上では「2年の瑕疵担保責任とする」というように最短の期間で設定している
 ケースが多いようです。

 個人間の取引において瑕疵担保責任は宅建業法上、規定がありませんので、瑕疵担保責任
 の期間の短縮・免責は可能です。実際の取引上では2ヶ月程度の瑕疵担保責任の期間設定
 が多いようです。

 しかし売主が瑕疵を知りながら買主に告げなかった場合等には責任排除の特約は無効
 となります(民法572条)。

 ところで、この瑕疵担保責任について業者が個人に対して有効期間を定めなかったり、
 瑕疵担保責任の特約をつけずに売却した時はどうなるのでしょうか?

 その場合は、瑕疵担保責任の時効消滅は引き渡しから10年です
 ( 平成13年11月、最高裁判所は、瑕疵担保による損害賠償請求権は引渡しの日から
 10年で消滅時効にかかるとしました。)ので、個人である買主は業者である売主に対して
 引渡しから10年間瑕疵担保責任を問えることとなります。

 以上のことから売主・買主双方とも瑕疵担保責任を決して甘く見てはいけませんよ。
 特約を十分吟味して契約を締結するようにしましょうね。

 また民法の特別法といった位置づけにあたる消費者契約法が平成13年4月1日から
 施行されています。これは、業者が個人に対して自らが保有する物件を売却する場合、
 個人と業者の情報格差から個人を保護する為に事業者の不適切な行為を禁じています。
 業者とは法人に限らず、業を営む個人も含まれます。

 専門知識をもった不動産仲介業者は当然、個人に対して、努力して親切丁寧に誤解を
 与えないように、分かり易く物件説明をする義務があります。
 このような法律が浸透することで今まで不動産業界にはびこっていた悪徳業者は自然に
 淘汰されていくのでしょうね。