収益マンション投資をする場合、実際に投資をする前に、投資の効率と安全率を見る為に
いくつかの投資指標を理解しておく必要があります。
安易な投資はデフォルト(債務不履行)に直結しかねません。
投資額が大きいだけに自分の資産や人生に大きく影響してきます。
したがって事業失敗は許されませんので、投資の前にまず勉強第一です。
横文字がいくつか出てきて当初は、頭が混乱しそうになりますが、慣れれば難しくはありません。
下記にその投資指標について説明してみます。
まず最も重要な指標としてNOI(Net Operating Income)があります。 エヌオーアイと呼びます。
それぞれの単語を日本語訳すると、Net :正味の、Operating:運用中の、income:収入となり、
正味の利益、即ち営業純利益(ネット利益)のことを意味しています。
単純に次の数式で表わされます。
NOI=利益-経費
空き室損を差し引いた正味の賃料から実際にかかった経費(固定資産税・修繕費・
管理費・清掃費・水道光熱費・入居斡旋仲介手数料・火災保険料・エレベーター保守点検費etc)
を差し引いたものがNOIです。
ここで重要な点は、このNOIという指標は物件が本来有するところの収益力を見ることにより、
異なる不動産と比較する指標なので、経費として借入れ金利及び減価償却は控除しないことです。
NOI=金利支払い・原価償却前の正味利益
このNOIを使って不動産価格を算定するキャップレート(総合還元利回り)というのがあります。
これは不動産ファンド等が不動産取得する際に適正な不動産価格を算定する為に使用されます。
このキャップレート(Capitalization Rate)は次の数式で表されます。
キャップレート(期待利回り)=NOI÷不動産総投資価格(不動産取得額+取得経費)
キャップレートは投資家が不動産投資に期待する利回りの目安となります。物件の収益力
であるNOIが分かっておれば、投資に最適な期待利回り(キャップレート)を設定することにより、
上記の数式から、NOI÷キャップレート=不動産総投資価格(投資適正価格)というように
適正な投資価格が算定されることになります。
キャップレート=不動産投資家が期待する投資利回り
ところでこのキャップレートの基準はどのように決定されるのでしょうか?
一般的にキャップレートは長期国債の金利(平成19年5月現在、1.6%程度で推移しています。)に
不動産リスクプレミアム(不動産市況に左右されるリスクプレミアム2~3%、不動産の立地・用途・
築年数etcによる物件固有のリスクプレミアム数%。)が加算されて決定されているようです。
キャップレートの設定によりREITや私募ファンドのアセットマネージャーは不動産市場から
投資用不動産を取得することになります。
このキャップレートの変遷ですが、バブル崩壊以降上昇基調で、1996年~1997年(平成8年~9年)
にかけてピークを迎えました。このピーク時に外資が投資用不動産を買いあさったのです。
このピーク時の利回りは最低でも8%~2桁の利回りとなっていました。
外資が買いあさったこの時をピークにキャップレートは低下していきます。
そして日本の投資家は1999年~2000年(平成11年~12年)にかけてやっと重い腰を上げることに、
なりました。 取得先は、その数年前に買いあさっていた外資からでした。
2001年はREIT上場の年となり、不動産ファンド等により収益不動産市場が一挙に拡大して
いくことになります。
2004年~2005年(平成16年~17年)はバブルの再燃と言われる程、不動産市況は過熱していき
ます。
参考までに平成18年下期のJ-REIT開示情報からニッセイ基礎研究所が作成したデータによると
J-REITの全国平均のキャップレートはマンションで4.9%、オフィスビルで4.5%となっています。
次にCCR(Cash-on-Cash return)とFCR(Free- and -Clear Return)について説明します。
CCRとは自己資金収益率のことであり、レバレッジ(てこ)がきいているかどうかの判定をする指標
であり、自分の目標収入にたどり着くまでいくらの物件をどのくらいのペースで買い進んでいくか
というときにも使える指標でもあります。
CCRは次の数式で表されます。
CCR=BTCF(税引き前キャッシュフロー)÷投資自己資金
BTCF(税引き前キャッシュフロー)はNOIから借入れ額の年間元利返済額を差し引いたものです。
※BTCF=NOI-ADS(年間元利返済額:元金+利息)
※税引き前キャッシュフローとは税引き前の現金収入のことです。
CCR=投入自己資金からの現金配当率
FCRは総収益率・ネット利回りのことで、物件をオール現金で購入した場合のネット利回り
(正味の利益)を意味します。
FCRは次の数式で表されます。
FCR=NOI÷不動産価格
CCR>FCRなら正のレバレッジと言われ借入れによる効果が出ていることになります。
不動産投資は借入れというレバレッジ(てこ)を使用し、自己資金だけで購入するよりもはるかに
効率の高いリターン(配当)を得られるというのが、大きな魅力となっています。
FCR=投資不動産から得られる総収益率・ネット利益率
次に投資期間中の借入金の返済能力を示す指標としてDSCR(Debt Service Coverage Ratio)
があります。DCRとも呼ばれ、日本語訳で借入れ償還余裕率のことを言います。
DSCRは次の数式で表されます。
DSCR=NOI÷ADS(年間元利返済額:元金+利息)
この数値が大きくなるほど借入金返済の余裕があることになり、DSCR≧1であれば、借入金を
当該不動産からの収入だけで返済できることであり、DSCR<1 の場合、借入金の返済余地が
無いことを示し、自分のポケットからも返済しなければいけないことを意味する。
参考までに格付け機関の投資適格レベルのDSCR指標は、DSCR>1.6程度と言われています。
不動産投資額に対する借入金の比率(LTVL:oan to Value )にもよりますが、一般的には
最低1.5以上は必要と言われています。
DSCR<1.2のケースとなると銀行融資はまず不可能となるでしょう。
DSCR=ローン償還余裕率(デフォルト回避、安全性指標)
不動産投資家が最も重視しなければならない指標と言えます。