不動産価格てどのように決めてるの?

 

 

 資本主義社会において、あらゆる商品価格は全て需要と供給の関係で決定されます。不動産も
 例外ではありません。

 ある特定の不動産に対して購入希望者が複数存在、つまり需要が大きいと価格はより高い価格を
 提示する購入者が取得できることになります。

 その反対に購入希望者が全く無い状態、つまり需要が無ければ価格はどこまでも下がることになり
 ます。 これが資本主義社会の冷徹な原理です。

 ここで貴方がある不動産を売ろうとして、適正な価格を調べようと思った時に、どのように価格を
 調べるでしょうか?

 不動産業者に査定価格を出してもらう。
 もしくは不特定の不動産業者に相場価格をヒアリングする。
 インターネット・チラシ広告等で売りに出ている物件を調べるというようなことをして価格の目安を
 判定するでしょう。

 しかしこの価格調査の際に考慮しなければならない点があります。
 まずインターネット・チラシ等で売りに出ている物件価格から判断できることは、大まかに言って
 その売価は売れる価格の上限であるということです。
 これを売れる価格と勘違いしないことが必要です。

 たまに値付け失敗というような例外がありますが、ここでは無視します。

 売りに出ている物件の中には売主の個人的な事情で市場を無視したような価格設定で売りに出て
 いるものも沢山あるということを認識しておきましょう。

 

 そして買主側より価格交渉が入って、売価の5%~10%引き程度の価格で成約とういう取引が
 一般的に行われており、時には20%~30%引きというような価格で成約しているケースもあります。
 極端な場合は半値以下というのもあります。

 したがって売りに出ている価格というのは一般的にそのまま売れる価格でなく売主の希望価格
 あるという認識をもつ必要があります。
 家電量販店に陳列されている価格ラベルに表示されている希望小売価格みたいなものです。
 勿論、売主の事情により1円の値引きもできないという物件もたまに存在しますが。

 不動産市場が上昇トレンドの中で、市場が加熱して売り物が無いという特殊な市場環境であるか、
 もしくは人気がある品薄市場で買い手がいくらでも存在しているというエリアのケースは例外として、
 一般的に不動産価格は売主が決めるのではなく買主が決定するものなのです。
 

 

 買主が価格に納得しない限り、その物件は売れないのです!

 また複数の不動産業者に査定評価を出してもらう場合、その価格がそのまま売れる価格と勘違い
 しないことが必要です。

 価格を決めるのは売主でも不動産業者でもないのです。買主が決めるのです!

 というのは不動産業者の算出する価格というのは、売却依頼を取りたいが故に、意図的に
 高い価格で提示するケースが有るということと、その査定価格というのは価格を算出した業者が
 持っている売買データ及び過去の経験と感に基づく見解に過ぎないということです。

 そして不動産業者の査定価格というのは収益賃貸物件を除き、近隣比較事例法と言われる、
 査定対象物件近辺の実際の売買事例に基づいて算定されています。
 賃貸収益不動産価格については後述しますので、ここでは触れません。

 特定の売買事例と査定対象物件を比較して、道路幅員・間口・方位・敷地高低差・相隣関係・
 規模等の価格に影響を与える要因を加点・減点することによって価格判定が行われることになる
 のです。
 

 例えば査定対象物件の価格評価を出す為に比較する売買事例物件が正方形の整形地で、
 道路幅員が6m、土地の方位は南向き道路、敷地と道路との高低差はほぼ道路と同じ、土地面積
 は100坪の物件だったとします。
 

 そして査定する物件は土地形状は間口が狭く奥行きが長く形状、土地の方位は北向き、道路幅
 は3m、敷地と道路との高低差は1.5m、土地面積は30坪の物件とします。
 

 この場合、査定物件の物件の敷地形状、土地の方位、道路幅、敷地と道路との高低差は減点
 評価となります。土地面積の規模は30坪と小粒で売却し易い価格帯となりますので流通性という
 名目で加点評価されます。その加点・減点の点数についてはマニュアルみたいなものが存在
 しますが、評価する担当者のさじ加減で決定されます。

 

 ここで不動産業界の現場において不動産査定はどのように行われているのかを披露します。

 価格査定の実態はまず担当者が査定対象物件の規模及び物件の個別性(敷地形状、
 土地の方位、道路幅、敷地と道路との高低差、相隣関係等)と近辺の相場価格から判断して
 3000万台の前半程度で売れそうだと判定すれば、その価格に合わせるように売買事例物件と
 比較しながら加点・減点の数値を自分のさじ加減で決めながら、不動産査定書を作成します。
 

 当然買主側に対してもその価格の妥当性を説明しなくてはならない分けですから、買主側はどう
 判断するかという視点がなければ買主側も購入しませんので、不動産業者にとって価格査定という
 のは売主側・買主側双方に対して公平性が求められる作業になります。したがってアバウトで
 ありながら、 厳密な評価が求められることとなりますので結構難しいものです。
  

 またどのような取引事例をデータとして採用するかによっても価格の判定が変動することに
 なりますので、採用する比較データに特殊な売買要因がないかも見極める必要があります。
 買主が購入物件の隣地で購入することにより相当なメリットを受けるが故に相場よりずっと高く
 乖離した価格で買っているとか、売主が換金を急ぐ必要性があり相場より安く売っているといった
 ようなことも考慮に入れて売買事例というデータを考える必要があるのです。
 したがって同一物件でも複数の不動産業者によって査定価格は変動することとなります。
 個別性の強い物件程、業者によって価格差が大きく変動します。

 

 不動産の中には値付けの失敗例というのが沢山あります。物件の多くは売主の意向
 を汲んで高く売り出され物件が多いのですが、限度を超えて誰も買わないないような価格で売りに
 出たり、ごくたまに超割安な物件も出てきます。このような安い物件は買取・転売業者の絶好の
 ターゲットとなります。
 安い物件を求めて毎日、物件探しを必死にしている業者が不動産業界には沢山存在しますので、
 超割安物件は瞬時に売れることとなります。
 このような物件はローン特約なんて条件を付けていたら決して買えませんけどね。
 

 不動産査定価格は必ず売れる価格でなく査定した業者の過去の経験及び直近の取引
 データによる不動産業者の感に基づく偏見によるエイ・ヤーで決めた単なる見解程度
 のものと認識しましょう。

 そんなあいまいなことでは駄目だということで、売価について論理的に納得したいということなら、
 不動産鑑定士にでも依頼すれば価格の根拠に対して納得し易いかも分かりませんが、それが
 売れる価格かどうかは別問題です。あくまでこれも不動産業者と同様な参考価格という見解に
 しか過ぎません。

 また価格の根拠というのは不動産業者と同様にその不動産鑑定士が採用するデータにより恣意的
 に変えることも可能です。

 例えばあるファンドの購入担当者が特定の物件を買う為に購入稟議を通し易くする稟議書作成に
 おいて恣意的に比較的高い価格データを採用するというケースが考えられます。

 このように価格というのは結構アバウトなものなのです。

 市場で売れる価格を算定するのはやはり売買のプロである不動産業者の方が不動産鑑定士に
 勝ります。不動産鑑定士はいくらで売れようとその価格が自分の収入とは何の関係もありません。

 売れる価格が収入及びそのまま生活に影響する不動産業者の方がよりシビアに価格を判定する
 のは当然であると思います。

 また不動産鑑定士は価格算定に際して、売買事例等のデータについては不動産業者よりの
 ヒアリング・情報収集に依存している分けですから、市場のことを本当に理解しているのは、その
 不動産価格によって生活の影響を受ける不動産業者であるのは当然のことであります。

 また適正な価格を判定するのが、如何に困難であるかは銀行の融資が融資する際に不動産評価
 を基に融資額を決めますが、これも各銀行によってまちまちです。

 

 不良債権を発生しないように最もシビアに不動産評価をする銀行によっても同一不動産で評価額
 に大きく相違があるということは、これはとりもなおさず売価に絶対的なものがあるのではなく、
 アバウトなものであるということを認識する必要があります。

 同一類似物件の売買取引が頻繁に行われている分譲地であるとか、分譲マンションであるといった
 ような物件なら目安がつき易いが、個別性が強い物件によってはある価格を基準にして上下20%
 以上の値幅があっても決して不思議ではありません。

 例えば1億を基準にして1億2000万~8000万の値幅で大きく売買価格が大きく変動するということ
 です。

 ある特定不動産の査定価格1億に対して、隣地の方にとっては物件の希少価値(間口が広くなる
 ことにより、現在保有不動産の価値が大きく上昇する)を考慮すると20%高くても買って損をしない
 ようなケースがあります。

 しかしその物件に対して特別な利害が無い方にとっては1億でも高く、20%ダウン程度なら自分の
 物差しに適うというケースもありますので、不動産価格というのは購入希望者のその物件に対する
 必要度によって売れる価格の目安の範囲というのが、このように結構大きく変動するものなのです。

 

 

 最後になりましたが、希少性のある物件については複数同時に買い付けが入り、買い上がり
 しないと買えないような物件もたまにありますので、物件を見る目がないと何でもかんでも値交渉して
 当たり前という感じになりますので、思い込みはしないようにしましょう。
 こうなると買うことが目的でなく、値引きが目的というような感じになってきますので、不動産業者にも
 嫌われることになります。
 自分にとって適正な価格で買うというのは、リアルタイムの不動産市場をある程度把握できている
 ということが前提となります。市場が分からなくては、特に投資不動産の購入においてはプロ・
 セミプロ・アマ参加の激烈な競争の中で物件購入をするというのは大変困難となりますので、
 まず市場を知る努力が最も大切になります。

今までのまとめ

 ■市場で売りに出ている価格は売主の希望価格である

 ■不動産価格を決めるのは売主・不動産業者・不動産鑑定士・金融機関等でなく買主が
   決めるものである。

 ■不動産査定価格は不動産業者の経験と感に基づく単なる見解に過ぎない。

 ■不動産価格の売価を決める際に考慮しなければならない点は価格の目安というのは結構
   値幅があり、アバウトなものであるということである。市場の標準的な不動産と比較して
   マイナス要因(変形地・敷地と道路の高低差が大・道路幅員が狭い・敷地が大き過ぎる、小さ
   過ぎる・近くに嫌悪施設がある等)の大きい個別性の強い物件程、売却価格の目安と成約価格
   の乖離が大きい。

 ■査定価格には不動産業者の恣意的な判断により不当に高いものや不当に安いものがあるという
  ことを認識しておきましょう。